職人気質と高い醸造技術を持つ、一途な造り手
ポルトガルワインの取り扱いの決め手ともなった、アントニオ・マルケシュ・ダ・クルスの赤ワイン。彼のワインは素朴な人柄を感じさせる味わいながらも、職人気質と高い醸造技術の為せるワインです。
現在、彼の管理している、2.5ha の畑は彼の祖父により 1952 年に植えられたもので、それに加え、彼の父が 1994年と 1999 年に植えた畑です。現在のセラーも彼の父が 1985 年に建てたのでした。彼の父は 1976 年からビオロジック栽培で手入れをしていて、認証を取得したのは 1994 年のことで、ポルトガルで初めてのビオ認証の交付だったそうです。
アントニオ自身は経済学を学び、車の部品を造る企業で働いていました。しかし、1989年に彼の父親の造った、セッラディーニャ 1989 年を飲んだ時の事です。その時初めて、ワインというものの奥深さを感じました。“ワインは感情に訴えかけるものだ”と。そしてプロとしてワイン造りをしよう、と真剣に考えだしました。アントニオはダ・クルース家がワインを造り始めてから、5 世代目ですが、彼の父の代まではみな兼業でした。しかしアントニオは、2003 年に会社をやめ、専業でのワイン造りを始めます。醸造学校には通わず、父が造っていたようにワイン造りをしています。
しかしアントニオの父親はビオロジック栽培ではあったものの、祖父の造っていた、彼らの、レイリアの地域らしい酸を活かしたスリムなワインではなく、ボルドースタイルの体躯の大きいワインを好んで造っていました。そしてそれに合わせてセラーを建設し、近代醸造設備もそろえました。けれど、アントニオはそれらの設備を全て廃し、祖父の造っていたような、地域に根差したワイン造りを再開します。現在の主な醸造設備は、醗酵用のステンレスタンクや木製の解放桶、6hl~24hl の熟成用の樽が主だが、実験的にアンフォラも使用しています。
「良い農業をするためには、バランスの取れた生きた土壌を育てることが重要だ」と、アントニオは一途に信じており、醗酵・熟成時にも”補正”を加えないワイン造りをするためには、化学合成された農薬を使わず、健全なブドウを育てることが重要だ、と語ります。“ワインはそれ自体で“一体”であるべきで、一部も欠けていてはいけない“との信念を持っており、そのためコラージュや濾過も一切行なわない。総亜硫酸量 20-45mg/L の亜硫酸添加をするのみ、としています。亜硫酸を全く無添加で瓶詰めまで行うこともありますが、まだ勉強中だ、とアントニオは語ります。
各ボトルには、彼の行うビオロジック栽培で管理された、畑に生息するテントウムシがカプセルの代わりにコルクの上に張り付けられています。テントウムシはしばしばナチュラルワインを造る生産者の間で、象徴的に扱われています。
(輸入元・HPより抜粋)