Matunei/マトゥネイ

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自然と田舎の風土を愛する夫妻の新たな挑戦

マトゥネイは 2015 年に誕生した小さなファーム(農園)です。アルベルト・ブリニョーロと妻のカルラは、四季の移ろいの中で仕事と人間が密接に絡み合っていた古来の仕事を通して、現代人が忘れてしまった人生の瞬間を取り戻しながら、持続可能な農業の新しい形態を再発見したいという想いから、それまでしていた仕事を辞めて、人口100 人に満たない小さな村アルフィアーノ・ナッタに移住し、カルドナの丘の耕作放棄地と古いブドウ畑を引き継いで農業を始めました。
二人が暮らす地方では、30 年前にランゲ地方で起こったような新しい世代のブドウ栽培家によって変革が起こっています。地元のナチュラルワインの造り手達に触発されて、二人も地場のローカル品種を栽培して、ナチュラルワインを造り始めました。栽培はビオディナミの手法を取り入れたビオロジックで、醸造面でも添加物は一切使わずに、野生酵母で発酵を行っています。
マトゥネイとはピエモンテの方言で「少年」を意味します。これは、地元で農業で働く若者を年配者が愛情を込めて呼ぶ時に使われる表現です。アルベルトとカルラはこの村に来た時に、地元の文化や歴史、農業、畑のことについて知るために、地元の年配者達を尋ねて回りました。ほどなく彼らはアルベルトとカルラを愛情を込めて「マトゥネイ」と呼ぶようになったのです。この名前は、若い世代を示す言葉ではあると同時に年⾧者とも繋がった言葉であること。また、先人達と交流して過去の経験や歴史から学ぶことを知っている若い世代という意味も込められているということ。そして、新しい考えと同じくらいルーツも大切であるこということ。このようなことから、二人は農場の名前を「マトゥネイ」と命名したのです。

2013 年に地元に引っ越して来て購入した自宅の隣に、偶然ナチュラルワイン造りをしている生産者の醸造所があったのです。彼は薬剤師でしたが、情熱が高じてナチュラルな方法でブドウを醸造していたのです。
アルベルトとカルラが地元で初めて交流を持ったのが彼だったのです。
彼は化学薬品は一切使わず、地場の自然の生態系を守り、何よりもブドウの質を最重要視して、農作業を尊重しながら働いていました。良質なワイン造るためにはブドウの質が最も大切なことは明白です。しかし、イタリアでも買い取りブドウの価格は生産コストに対して十分なものでありません。このため、多くのブドウ栽培農家が低品質のブドウを大量に売却しています。これらのブドウは、質の低さを補うために大量の化学薬品を添加して醸造されています。貧しい農業政策による悪循環と言えます。とても残念なことです。

しかし、夫妻はこの隣人を通して、地元の他のナチュラルワイン造り手達とも知り合い、彼らから多くのことを学びました。そして、このモンフェッラート地方では、30 年前にランゲ地方で起こったような新しい世代のブドウ栽培家が物事を変え始め、自分でワインを造り、畑のテロワールを表現するワイン造りをしていること。素晴らしいワインが生まれ、忘れられていたブドウ品種が再発見されていることを知ったのです。ブドウとワイン、そしてその伝統には真の可能性があること。ワインとは、地元のテロワールと文化、そして地元の人々について、世界中の人とコミュニケーションする最良の手段の 1 つであることを認識したのです。
そこからは、勉強と情熱が一緒になりました。ゼロからブドウ栽培とナチュラルワイン造りを始めることは非常に厳しいものでしたが、アルベルトとカルラは、偏見は持たず、好奇心に満ち溢れた「純粋な子供の目」でワインの世界に飛び込みました。そして、ナチュラルワインを造る地元の友人達から学びながら、ナチュラルワイン造りをしています。

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