バローロへの情熱、こだわり抜いた魅惑のバローロ
マルゲリータ・オットを手掛けるのはニューヨーク近郊の街出身のアラン・マンリー。スイス人の両親を持つ彼は、ワイン好きな祖父と父の影響で4歳ころからワインの味見をしていたという。大学で経済学を修め、就職をしたアランだが彼も当然のようにワインを集めるようになります。「初めてバローロが僕のセラーに入った瞬間が、新たな人生の始まりだった。」そう語るアランはワインの中でも特にバローロに魅了されます。1995年以降、毎年バローロを訪れ、ブドウ栽培やワイン醸造、畑や生産者の特徴など自分の目で見て知識と経験を増やしていきます。
2008年、ついにワイン造りへの憧れが抑えきれなくなったアランはバローロの巨匠のひとり、ルチアーノ・サンドローネに手紙を書き、収穫とワイン造りを学ばせてもらうことになる。それ以降毎年、秋から冬にかけて6-12週間ピエモンテに滞在し、エリオ・アルターレ、バルトロ・マスカレッロ、カヴァロット、マリオ・マレンゴなど様々なワイン生産者の下で実際にブドウ収穫とワイン造りを経験します。そして2011年、アランはついにイタリアへの移住を決断。そのタイミングで彼に仕事のオファーをしたのが、彼に最も大きな影響を与えることになるマリア・テレーザでした。
そこから10年間、バローロで最も偉大なワイン生産者のひとつバルトロ・マスカレッロでマリア・テレーザの右腕として栽培と醸造を行います。「様々な偉大な生産者のもとでワイン造りをさせてもらって、多くのことを学んだ。例えばルチアーノ・サンドローネではセラーを清潔に保つことの重要性を学んだ。それは今のワイン造りにも大きく影響している。それでも自分の好きなバローロのスタイルはバルトロ・マスカレッロなんだ。」
バルトロ・マスカレッロで働くかたわら、知人の紹介で2012年にカスティリオーネ・ファレットのペルナンノに0.1 haの畑を入手し、改装した自宅の地下で500 Lの個人用ワインを造り始める。2014年の収穫後にセッラルンガ・ダルバのヴィーニャ・リオンダの横に0.2 haの畑を購入し、2015年に正式にワイナリー”マルゲリータ・オット“を設立する。
アランのワイン造りを特徴づけるのは、アッセンブラッジョ(assemblaggio) である。「“ブレンド”と“アッセンブラッジョ”は似ているようで異なる。ブレンドは、各区画で発酵を行い、最終的に混ぜ合わせること。一方、アッセンブラッジョは最初から全てを混ぜて発酵させることだ。僕にとって、アッセンブラッジョこそがバローロの伝統的な製法だと思っている。もちろん、ヴィンテージによってはこの方法ができないこともあるけれど、このスタイルをできる限り続けていきたい」とアランは語る。彼によると、現在アッサンブラージュのバローロのみを造っている生産者は、わずか2ワイナリーしかいないという。
アランにとって初めての畑であったカスティリオーネ・ファレットのペルナンノMGAは2019年でリース契約が終了し、現在は4つの区画に計3.2 haの畑を所有している。セッラルンガ・ダルバ(ヴィーニャ・リオンダMGAに隣接する、彼が”ソット・リオンダ”と呼ぶ区画)、モンフォルテ・ダルバ(ジネストラ地区)、ヴィニャーネMGA(バローロ村)、コステ・ディ・ローゼMGA(バローロ村)で、ランゲ・ネッビオーロとバローロを造っている。
【温暖化の影響へのアプローチ】
歴史的にピエモンテでは日当たりのよい南向きの畑が高く評価されてきた。しかし、温暖化に伴いそのような畑では過熟や酸の不足が懸念材料となっている。「ワイン造りにおいてはタンニンと種の成熟をこそが重要。だから収穫のタイミングはブドウの糖度では判断しない。糖度が上がりすぎないようにブドウの剪定を大切にしている。」とアランは語る。“アル・カレ“という伝統的な手法を用い、除葉はせずに全て手作業でワイヤーに巻き付け西側に葉を垂らす。そうすることで強い西日と雹からブドウを守ることができ、アランにとって理想的なブドウが収穫できる。
【理想のバローロを追求する樽】
アランのワインを飲むとタンニンの溶け込み具合と緻密さに驚く。その背景の一つに彼の使用するイタリア・ボルツァーノのミッテルベルガー社の樽がある。家族経営の樽メーカーで生産量が少ないうえ、その品質の高さから著名なワイナリーからのオファーが絶えなく、長いウェイティングリストが出来ているという。ボルツァーノが位置するアルト・アディジェ州はドイツ語が主流になっており、「ドイツ人よりもドイツ語へのプライドが高い」と言われる。両親がスイス人ということでドイツ語が母語であったアラン。幸運にもウェイティングリストの最上位に来ることができた。オーク材はフランスのアルザス産であるが、オークの成長が非常にゆっくりなため、年輪間が細かくバローロの熟成にとって理想的な酸素の透過量となる。そのため、オーク熟成中にタンニンの結合が促され、若いヴィンテージでもきめ細かく溶け込んだタンニンを表現することができる
(輸入元より抜粋)