Christian Binner/クリスチャン ・ ビネール

目次

アルザスで250年続く名門 ビオディナミが奏でるキュヴェの数々

個々の畑の特徴を最大限に引き出す

アルザスの AOC はブルゴーニュのそれに倣っており、「村名」・1er cru に当たる「lieu-dit(リューディ)」・「Grand Cru」があります。
南北に連なるヴォージュ山脈の東、平らな地域は AC Alsace となり、クリスチャンの所有する畑ではリースリング、ミュスカ、ピノ・ノワールなどが栽培されています。やや複雑味に欠ける場所です。
彼らのドメーヌがあるアムルシュヴィール(Ammerschwihr)村のからヴォージュ山脈へ向かう丘に当たる三つの区画はコート・ダムルシュヴィール(Cote D’Ammerschwihr)、隣接してグラン・クリュのケフェルコフ(Kaefferkopf)。
その北、ヴォージュ山脈の斜面が西へ引っ込み、冷たい西風が吹きぬける場所にカイザルスベルグ(Kaysersberg)があります。ここはその西風によって強く芯の太い酸を持ったブドウが生まれるため、クレマンにのみ使用されます。そこからやや東に位置するグランクリュ・シュロスベルグ(Schlossberg)も冷たい西風を受けて寒い場所です。花崗岩が砕けて砂になった土壌です。

畑仕事について

良いワインは良いぶどう・畑から

ビオディナミによって最良のブドウができます。
収穫はしっかりと熟したタイミングで行い、暑い年だからと言って早く収穫することはしません。常に熟したブドウを求めています。熟度を見極めずに早く収穫することは毎年同じブドウを得ようとすることに繋がります。ナチュラルワインの造り手の中でも、早く収穫して酸を残すやり方が流行っていますが、ワインの複雑さはしっかり熟したブドウでないと表現できないと考えています。早く収穫したものでは、醸造中の不具合が出やすくなり、ワインになった時に還元香や揮発酸などが起こりやすいと思います。完熟することがそれらの問題を起きにくくさせていると思います。完熟することでうま味が醸成されるのです。

醸造・熟成について

醸造について

2010~2015 年にかけて作り上げた新しい醸造所は、ベストなコンディションでワインを造るためのものです。自然のエネルギーを取り込むことができる設計で、風通しがよく天然の酵母が入ってきやすく悪いエネルギーは風と共に出て行くようにになっています。木材などビオディナミの素材や寺院や教会で使われるような材料を使用しています。
木々はビネール家の近くの森から切り出したもので、木を切る際もビオディナミカレンダーに従い、木の生長の向きや上下も自然の時と同じように揃えています。建物全体が丸みを帯びていますが、これは自然界に直線で角ばったものは存在しないことからデザインされていて、人工物的な角を排除し、エネルギーの循環を促すためです。醸造所内や外壁の岩もアルザス産の砂岩で、コンクリートは一切使っていません。岩で組むため、わずかな隙間から建物が呼吸するように、湿気を含んだ風が出入りします。熟成中にも湿度は重要です。また屋根にも土を敷き、草を植えることで、エアコン等もない醸造所内が日当たりによって温度変化しにくいようにしています。

発酵熟成にはフードルをよく使用しています。木の樽は細かく酸素と触れることができ、ワインが酸素となれていくことができます。100 年使われているフードルなどはその呼吸にとても役に立ってくれます。新しく広い醸造所になったことで、樽を増やすことができ、2~3 年熟成させることができるようになりました。長く熟成させることはワインを安定させることに繋がっています。

酸素への対応

「時々友人で、時々そうではない」
木の樽が取り込む酸素の量がバランスが良いと考えています。INOX タンクは嫌気的で、ワインが酸素に慣れないままになります。いざ酸素に触れると酸化しやすいのです。ウイヤージュ(樽からの目減り分の補充)もとても重要で、ウイヤージュが不十分だとバクテリアの発生の原因になったりします。各フードルの上部の口に設置している水位計は、管に液体が見えていればフードル内はワインで満たされていることがわかるため、とても有効です。また、フードル内の温度が上がった時にもそれによる水位の変化が見られます。

(輸入元より抜粋)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次