Chiara Condello/キアラ・コンデッロ

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堅実にホンモノを造るライジングスター

キアラは同じくエミリア-ロマーニャ州にある家族のワイナリーでワインキャリアをスタートさせました。もともと経済学を修め世界的に著名な経営コンサルタント会社へ就職するはずでしたが、家族のワイナリーを手伝っている間にワイン造りにすっかりと魅了されました。当初はそのヴィンテージのみを手伝う予定でしたが、気が付けばさらにワイン造りを学ぶためブルゴーニュへと向かっていました。家族のワイナリーは約50 haの土地を所有し、その半分が森、残り半分で果樹とブドウを作っています。ブドウ栽培、ワイン醸造を学び、自ら目指したいスタイルを確立しつつあった2015年、キアラに大きな転機が訪れます。近所のブドウ農家が高齢のためブドウ栽培をやめるとの話を聞きました。それは家に近く彼女が小さい頃から親しんでいる畑で、農家が化学肥料を使用せずにブドウ栽培をしていることを知っていました。「この話を聞いたときにとてもショックだった。でも同時にこれは何かの縁だと思った。こんなに素晴らしい畑を手放してしまうなら私が引き受ける。そう決心した。難しい決断ではなかった。」そしてキアラは引き継がれてきたこの土地の何百年物もの歴史を守りユニークなこの土地を表現するワインを造ろうと、家族のワイナリーで働く傍ら、自らの名を冠したプロジェクトを設立しました。  

彼女が造るワインはサンジョヴェーゼのみ。サンジョヴェーゼはブルネッロ、キャンティ・クラシコその他多くのワインに使用されており、イタリアの全栽培面積の8 %を占め、もっとも栽培されている黒ブドウ品種である。広く栽培されているためその多様性が認められる一方で、栽培条件に非常に敏感な品種のため、個性を普遍化するのが難しい。基本的には痩せた岩の多い土壌が栽培に適しているといわれ、高品質のブドウを生育するためには収量をコントロールする必要があります。しかし過去には、需要と好みの潮流を受け、収量が多く酸味とタンニンが強いクローンが導入されてきました。時代の潮流に呑まれ、エミリア-ロマーニャでもほかの地域と同様に低価格で質より量、力強いワインが求められ低地で時代に迎合したワイン造りが主流となります。キャンティ・クラシコのカステッロ・ディ・アマやモンタルチーノのビオンディ・サンティのような存在がいないエミリア-ロマーニャのサンジョヴェーゼは協同組合に先導される大衆向けのワインと認識されるようになりました。標高が高くエレガントさが特徴のプレダッピオは人々の目に映っておらず長年評価されませんでした。「私は自分のワインに、この土地、プレダッピオの真の姿、歴史、魂を表現することを求めている。ヴィンテージとテロワールはコントロールできないけれど、それを受け入れてワインに反映させたい。ワインに自ら語らせるの。私はこの土地からは明るいピュアなワインを想像している。そのために私は有機栽培と手作業というシンプルな方法で仕事をすることに決めたの。」プレダッピオを表現すべくサンジョヴェーゼに向き合うキアラ・コンデッロ。華やかに見える彼女は職人の手をしていた。 飛ぶ鳥を落とす勢いのライジングスターは、堅実にホンモノを造る人でした。  

(輸入元より抜粋)

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