真のテロワールの翻訳者かつマルヌ渓谷における有機栽培のパイオニア
1671年に始まるブラン家のワイン造りの伝統を継承する、マルヌ渓谷ヴァンセル村の家族経営ドメーヌです。現当主ジェローム・ブラン氏は、父から受け継いだ土地を「先祖からの相続ではなく、子どもたちからの借り物」と捉え、次世代への責任を核とした栽培・醸造を実践しています。
ジェローム氏は、細胞生物学修士、醸造学修士を取得した異色の経歴を持ち、「迂回路を取ることで、正しい方向に進み続けることができる」という信念のもと、1996年に家業に戻る前にシャンパーニュ、ミネルヴォワ、そして特にオーストラリアへ複数回渡り、多様な醸造技術に触れました。オーストラリアでの醸造家・地質学者ロン・ラフォン氏(ジャスパー・ヒル)との出会いが、有機・バイオダイナミクス栽培への転換を決定づけました。
「自分でできることは自分で行う」という独学者気質を持ち、パーマカルチャー菜園、養蜂、アグロフォレストリー、古代品種の復活、雨水回収システムなど、自立型エコシステムの構築に情熱を注ぐ実験者です。鶏、ガチョウ、ヤギを飼育する緑化屋根を備えた自宅兼農園は、「最小限の介入」という哲学を体現した生きた実験室となっています。
2010年、村の他3名の栽培者とともに有機栽培に正式転換し、同年に自身のブランド「ジェローム・ブラン」で最初の500本を生産しました。2016年にはサロン・ビュル・ビオで認証キュヴェを発表し、現在では年間約7,000本を生産、そのうち64%が有機認証ボトルという、マルヌ渓谷における有機栽培の先駆者的存在です。
約6ヘクタールの畑は10区画に分散し、ヴァンセルの多様な土壌(粘土質、石灰岩質、緑色粘土)を活かして、それぞれが固有の個性を表現しています。主要品種はマルヌ渓谷の個性を表現するムニエを中心に、シャルドネ、ピノ・ノワール、そしてピノ・グリ、ピノ・ブラン、プティ・メリエといった古代品種の復活にも取り組んでいます。栽培では植物療法を用いた自然な病害管理とバイオダイナミクスを実践し、醸造では土着酵母使用、清澄・濾過の最小化、低SO2により、「ブドウは単独の表現においてより多くをもたらす」という信念のもと、テロワールの純粋な表現を追求しています。
科学者の論理性と芸術家の感性、伝統への敬意と革新への情熱を併せ持つジェローム・ブラン氏は、真の意味での「テロワールの翻訳者」です。世界を旅して得た知見をヴァンセルの小さな区画で実践する姿勢は、グローバルな視野とローカルな献身の理想的な融合であり、自然との対話を重視しながら新しい試みへ果敢に挑戦する稀有な造り手です。
(輸入元より転記)


