Formiche/フォルミケ

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夢を叶えるパートナー、土着品種のアンソニカ 


彼らの畑はマレンマ海岸の南、カパルビオと呼ばれる町で、海から数kmのところにあり潮風の影響で気温の急上昇を和らげています。土壌はアンソニカと相性が良いとされる貝殻を多く含む赤い砂質土壌。畑では銅や硫黄の使用はごく少量のみに抑え、つくしやイラクサなどのハーブの抽出液を用いて病害を防いでいます。「僕らはこの土地の植物が自然な均衡を保つことを重要視している。ブドウやほかの植物も昆虫もすべてがこの地の生態系の一部であり、決してブドウ畑、ブドウ樹が中心となるアプローチは行わない。より全体的なシステムとしてのアプローチをするよう心掛けているよ」と語ります。

セラーではできる限り介入をせず「ブドウがそのヴィンテージを表現しているから、僕たちはその特徴をワインに表現することを手伝うだけ。ワインは自分たちで成長することができる。」と語り、発酵は野生酵母のみで一部全房で優しくプレスし、清澄や濾過は一切行わず、硫黄は必要な場合にのみ少量添加します。

「一緒にワインを造ろう!」シモーネ、ジジ、ディラン、そしてもうひとりのシモーネ。4人の友人はワインで高揚した気分にまかせ固いハグをしました。しかし、ただお酒の勢いに任せ決めたわけではありません。彼らには確信がありました。3人はワインメーカー、1人は農学者です。シモーネとディランは大学で醸造を学んでいた時に同期として出会いました。そしてもう一人のシモーネとジジは以前からの友人でした。トスカーナに集結する前、彼らは世界のさまざまな場所で出会い、経験を共有してきました。
もともと友人で会った彼らはこの経験をもとにより一層の結束を高めました。月に1回、夕食をとりながら様々なワインのブラインドテイスティングを行っていました。ああでもないこうでもない、彼らはそれぞれのワイン造りを超えて、本音で意見を交わせる関係になっていきました。彼らは皆、同じ感情、同じエネルギー、同じビジョン、同じ夢を共有していることに気づきました。「この仲間でワインを造りたい」4人それぞれの胸に小さな思いの種が目を出し始めていました。

そして彼らの心に浮かんだ土地とブドウただ一つ、トスカーナの沿岸マレンマ地区。みんながこの付近に住んでいたこともあり、場所は自然と決まりました。

そして、その土地を表現する晩熟の白ブドウ品種アンソニカ。

アンソニカはマレンマ地方、特にアルジェンターリオ岬やジリオ島の沿岸部で何世紀にもわたって栽培されてきました。しかし、いざ彼らのプロジェクトを始めようとするとそのハードルは非常に高いものでした。この地では長い歴史を持つアンソニカですが、現代ワイン市場では凡庸なブドウ品種として重要視されてきませんでした。多くがシャルドネなど国際品種に植え替えられてしまっていました。

ですが、彼らにはこの土地を表現するためにアンソニカ以外の選択肢はありませんでした。それまで重要視されていなかった品種のため、彼らの求める品質に達するアンソニカの畑はなかなか見つかりませんでした。しかし、彼らは妥協できませんでした。

「それぞれのプロジェクトとは別に自分たちが好きなワインを造る。ならば細部まで徹底的にこだわります。何しろアンソニカというブドウは僕たちと同じこの土地で育つブドウなのだから。」

畑を探して2年が過ぎました。土壌の専門家であるディランはこのエリアの土壌組成を調査しました。そしてアンソニカと相性が良いとされる赤い砂質土壌が顕著にみられる土地を発見しました。ついに出会った2 haの畑。この時点で既に4人はこの土地に決めていました。すぐさま土地の所有者に畑を貸してくれるように交渉。

「初めて見たとき、しばらく手入れされていなくて荒廃した感じだったけど、不思議なことに全員が直感的にここにしようと感じたんだ。これまで探し続けてきた時間はこの畑を見つけるためだったんじゃないかという気になったよ。」

マレンマ海岸の南、カパルビオと呼ばれる町で、海からほんの数kmのところ。樹齢30年以上のブドウの木は、非常に心地よい潮風を享受し、気温の急上昇を和らげ、一年中一貫して健全なブドウ樹を保つのに役立っています。彼らは自分たちの手と剪定鋏、そして徹底的なこだわりを持ってブドウ畑を生き返らせました。

「フォルミケ」という名前には二つの意味があります。「トスカーナ沖に浮かぶ非常に小さな島々」と「アリ」。単独で自分の体重の100倍もの重量を持ち上げる強い力を持っていながらも非常に強力的で組織的であるアリを、それぞれのプロジェクトを行いつつも、同じ目標に向かって協力する自分たちに重ねていました。「僕たちは一人ひとりがそれぞれのプロジェクトを持ち自立している。それでも一緒にプロジェクトを行うのは、この4人だからできること、この4人じゃないとできないことがあると思うから。」

彼らは生産者として、そしてトスカーナ人として、彼らにとってアンソニカが何を意味するのかをワインを通して表現します。(輸入元より抜粋)

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