「歴史ある産地から新しい二人の声を届けたい」夫婦二人三脚で歩む若手生産者
ラ・ヴェデッタを営むのはイタリア・ピエモンテのバルバレスコ村出身のマルコとドイツの小さな町フォーゲルスベルク出身のスワンヒェの夫婦。ブドウ畑はバルバレスコ村に2ha、隣接するカスタニョーレ・デッレ・ランツェの丘、サラジーノに1.5 haを所有しネッビオーロやバルベーラ、フレイザを栽培しています。中でも注目すべきはネッビオーロが栽培されている、彼らの家族が単独所有するバルバレスコ村のモノポールCa Grossa(カ・グロッサ)です。祖父が所有していたこの畑はマルコの叔父が引き継おり、叔父は祖父が1950年代に植えたヘーゼルナッツの栽培に注力し、ブドウ畑は他の農家に貸していました。ただ、祖父が大切にしてきた畑を守るためそのブドウ畑ではオーガニック農法を行うことを条件としていました。叔父はマルコのワインを造りたいという夢を聞いてとても喜びました。畑の借主を何度も説得し、少しずつ畑を返還する了承を得てワイン造りをスタートさせています。
~オーガニック栽培と生物多様性~
ブドウ畑は森やヘーゼルナッツの木立に囲まれているため生物多様性が守られています。畑を歩くと多くの昆虫や植物の活き活きとした生命の輝きを感じます。マルコとスワンヒェはその生物多様性を守るため徹底したオーガニック農法でブドウを栽培しています。ブドウだけでなくワイナリーの庭にある野菜畑でも農薬は一切使用しません。「祖父の代から引き継いできたこの美しい土地を私たちも守っていきたい。そのためには生物多様性が守られることが大切だと思う。イノシシとか野生動物とも共存していく。飼っている鶏をキツネに食べられてしまったときはショックだったけどそれも生態系の一部だから仕方ない。キツネのお腹が満たされてよかった。」サラジーノのおいても同様のアプローチをしています。
~彼らを物語るモノポールCa Grossa~
円形状のマルティネンガ、曲がりくねったアジリ、ラバヤの急斜面。それらの壮大な丘陵地帯を一望できるのは川の対岸に位置するカ・グロッサ。この畑はマルコの祖父が単独所有していたため教科書やウェブサイトで語られることは少ない(貸していた時期もありました)。MGAとしては17haの面積だが、実際にブドウ畑となっているのは2haのみで、他のエリアは森やヘーゼルナッツの木立で占められており、その分非常に生物多様性に富んだ土地となっています。「この畑は南東向きで、祖父の時代では日当たりが十分でなくあまり注目されていませんでした。そのため、ブドウよりもヘーゼルナッツが植えられてきました。でも今では温暖化の影響で南向きの畑は日焼けや過熟のリスクが高くなってきています。その分、カ・グロッサは日照的にベストといえるかもしれない。」とマルコは語ります。 カ・グロッサはこの地域では典型的な泥灰土と石灰岩の土壌に約15 %という高い割合の砂が混ざり合っています。それによりアロマティックでフィネスを備えたワインが生まれます。「2018年ヴィンテージからカ・グロッサの名を冠したワインを造り始めた。僕らはまだこの土地を理解することに努めている段階。」そのためカ・グロッサの畑の中でも特に優れているエリア0.5 haのみを”Barbresco Ca Grossa”としてリリースし、他は”Barbresco”としています。
(輸入元より抜粋)